100分de名著 オルテガ『大衆の反逆』第三回 死者の民主主義

100分de名著

 

私の大好きなテレビ番組、100分de名著 Eテレ月曜 22:25〜22:50

 

簡単なまとめと感想をつづります。

今回の名著は20世紀を代表する文芸批評『大衆の反逆』
作者のオルテガは大衆の時代の到来を今から1世紀前に予見した哲学者で思想家です。

 

第三回は死者と共に生きる、真の民主主義とは何か?その意味を読み解いていきます。

オルテガは死者との断絶がこそが大衆社会の大きな特徴であると考えました。

死者という言葉がいきなり出てきてびっくりしたのですが、オルテガの世界観は死者の色々な経験に私たちは縛られながら生きている。こういう風に考えられているのです。

オルテガがなぜ死者を重要視したのかを見ていきます。

われわれ現代の人間は、突然、地上にただひとり残されたと。
つまり、死者たちは死んだふりをしているのではなく、完全に死んでいるのだ。
もうわれわれを助けてははくれない、と感づる。

 

生きている死者とは

死者はいなくなったのではなく、死者として存在しているのではないか。

例えばあなたが迷っているときに、亡くなったおじいちゃんならこう言ってくれるだろうな。と考えることはありませんか?

言葉だけでなく、おじいちゃんが大切にしていた庭が残されていたり、今の世界は膨大な過去によって支えられている。そう考えることができます。

それなのに今の我々は、生きている人間によってなんでも変えられると思ってしまいがちです。これがいいんじゃないかと思って飛びついたものに変えられていく。

これはとても危ないことではないか。とオルテガは危惧しています。

過去を無視して世の中のルールをひっくり返すようなことできると今の我々は能力を過信している。

そしてそれがひとたび間違えていると考えられると逆方向に赤から黒へとまた反転してしまう。

このように、単純化して物事を考えていると、異論を受けつけなくなります。

今の我々は能力を過信している一方で不安を抱えこんでいます。

なぜならば我々は膨大な過去を支えてくれているはずであり、これまでの規範や文化を繋いでくれた生きている死者をないがしろにしているからです。

過去という土台を失っているから孤独になっているのです。

 

過去を無視する時代

オルテガは変化を恐れているわけではありません。

過去と向き合うとは複雑でとてもまどろっこしいことです。赤から黒へと急激に変わる激しさや単純さとは違う繊細な変化です。

それは湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入っていく

人間の時間の歩みもそうだ。オルテガは考えます。

あまりボートを漕ぐ経験はないですが、ボートとは進む方向を背中にして後ろ向きに腕を伸ばして進んでいきますね。

美しい表現です。赤から黒への熱狂的な反転と違って静かな様子が想像できます。

 

立憲主義と民主主義

オルテガの考える変化は立憲主義的なものだと言うことができます。

民主主義は生きている人の票で決定されます。

対して立憲主義は、多数決で多くても、死んでいる時代に作った憲法を変えることができません。

過去の失敗や経験が積み重なった叡智により作られた憲法を単純に変えることができないのです。

古代のギリシア人は石で投票したと言いますが、立憲主義は死者にも墓石で投票してもらっていると言えます。

立憲主義の主役は死者。民主主義の主役は生者。

オルテガは生者だけで物事を決定するのは危ういと考えています。

 

カーニバル型共同体

オルテガの大衆社会への分析を現代においてさらに鋭く考察した人がいます。

東京ドームに集まってコンサートに熱中しているときは同じ瞬間で盛り上がったり酔ったり一体感があるのですが、それはそのときだけでコンサートが終わると一体感や共同体は消えさり、それぞれちりぢりに帰っていきます。

また同じ場所に集まるときだけではなく、何かが起こると一気に熱狂し、すごい勢いで炎上しますが、あっと言う間に忘れさられていく現象。

このように祭りというかたちでしか人びとが結束できない社会をカーニバル型共同体と名付けました。

とても今っぽい現象で、SNSでの炎上もまさに祭りと言いますね。

このような時代になった時、オルテガはどうすればいいか提唱しています。

もしあなたが自分の時代をよく見たければ、遠くからご覧になることだ。
どのくらいの距離から見るか。
きわめて簡単なことだ。
クレオパトラの鼻が見えなくなるだけの距離から見ればよい。

現代は非常に近視眼的になっています。明日の株価とか自分の損得だけをみて生きていませんか?

広い視野でみないと間違えてしまいますよ。

オルテガは死者の立場から今でも墓石で意思を投じてくれています。

 

 

今回はいきなり死者という言葉が登場し、民主主義とどう結びつくのか考えながら見ていきましたが第二回のリベラルであることと本質的には同じことを伝えようとしているのかなと思いました。

それはオルテガの時代に流行った単純なわかりやすい改革とは違った考え方なので、何度も丁寧に多角的な方面から説明していかなければならないから。

オルテガは複雑でまどろっこしい、根気のいる作業を私たちにしてくれているのだと受けとりました。

 

次回も楽しみです。

 

 

 

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